雑記

スクールロイヤー制度は誰のためにあるのか?

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大学2年生の娘と高校2年生の息子がいます。

娘は大学で教職課程を履修しているのですが、
先日、授業でスクールロイヤー制度のことを学んだと教えてくれました。

スクールロイヤーとは、直訳するとschool lawyerつまり学校の弁護士です。

ケロケロママ
ケロケロママ

生徒のためではなく、学校のための弁護士なの?

  • どのような役割があるのか?
  • 学校に常勤しているのか?
  • どこが相談窓口になっているのか?

今回は謎だらけのスクールロイヤー制度について調べたことをまとめます!

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スクールロイヤー制度とは?

スクールロイヤー制度はいつからできたのか?

文部科学省から2017年に「いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究事業」が実施されました。

その後、2018年には対象をいじめに限定せず、学校で起こるさまざまな問題の解決を支援する存在としてスクールロイヤーを位置づけし直しました。

2020年には「教育行政に係る法務相談体制の充実について」を発出し、スクールロイヤーの制度を充実させるための施策を打ち出しました。

文部科学省の発出したスクールロイヤーに関する資料はコチラです。
⇒「教育行政に係る法務相談体制構築に向けた手引き

愛知県でも、2020年6月から「スクールロイヤー設置事業」が始まりました。

ケロケロママ
ケロケロママ

愛知県ではまだスタートして数年の新しい制度でした!

どのような役割(仕事内容)があるのか?

スクールロイヤーの役割(仕事内容)は以下の通りです。

  1. 随時ある学校からの法務相談への対応(電話または面接)
  2. 法務に関わる教職員研修の実施
  3. 教育事務所に出向いて学校や各市町村教育委員会からの相談を受ける巡回相談

私はスクールロイヤーは「学校の顧問弁護士として、保護者と対峙する役割を担っている存在なのかな?」と思っていたのですが、調べてみたところ、学校と保護者の中立的な立場にいることが分かりました。

学校側からの相談ケースは、いじめ、不登校、学校事故、児童虐待、校則問題、貧困問題等、多岐に渡っているのですが、そのほとんどが保護者対応に学校現場が苦慮しているケースとのことです。

ケロケロママ
ケロケロママ

実際、私がスクールロイヤーについて調べていると「モンスターペアレント」の相談に行きつくことが多かったです…。

これはうちの子どもたちの学年に実際にいた「困った保護者」のほんの一例です。

  • 子どもをお風呂に入れない(毎日同じ服を着て登校する)
  • 授業参観中に子どもが走り回って騒いでいるのを笑いながら見ている
  • 子どもが劇の主役になれたなかったことに対して学校に苦情を入れる
  • 自分の子どものためだけに新しい部活を作って欲しいと学校に何度も電話をかける
ケロケロママ
ケロケロママ

子どもが学校で転んだことに対して先生に「謝罪しろ」と学校まで怒鳴り込んで来る保護者もいました。

むすめ
むすめ

給食費、教材費の未納はとても難しい問題だって大学の授業で習ったよ。

子どもたちがまだ小学生の頃、PTAをやっていたときは学校に行く機会が多く、学校現場が保護者に対して苦慮している様子を実際に見たこともありました。

このような保護者と中立的な立場に立ち、学校が行うべき法律上適切な対応について指導・助言を行ってくれるスクールロイヤーはとても心強い存在です。

愛知県ではどこに設置されているのか?

県内に5つある教育事務所(尾張、海部、知多、西三河及び東三河)に、それぞれ規模に応じて複数の弁護士がスクールロイヤーとして配置されています。

むすめ
むすめ

学校に常駐しているわけではないんだね!

相談窓口はどこなのか?

スクールロイヤーに対する相談者が誰なのかによって「相談ルート」も変わります。

教育委員会で主に動かれる指導主事の方々からの相談
⇒教育委員会から弁護士会に対して相談し、弁護士会が案件ごとに弁護士を紹介する

校長などの学校の管理職からの相談
⇒学校の管理職又は教職員が教育委員会に相談をした上で、教育委員会から弁護士に対して相談をする

一般の教職員などからの相談
⇒学校の管理職又は教職員が直接弁護士に相談をする

どのルートで相談しても、情報は教育委員会で共有されます。

依頼する費用はどのくらいかかるのか?

ケロケロママ
ケロケロママ

調べてみたところ、令和4年度の 愛知県教育委員会の資料に書かれている、スクールロイヤー設置事業費は3630千円となっていました。

このようにスクールロイヤーは、教育委員会から委託を受けて報酬が出ています。

そのため、子どもや保護者の方からの相談はダイレクトには受けられないという形になっています。

直接相談がしたいのなら…

上にも書きましたが、スクールロイヤーは学校と保護者の中立的な立場にいるので、特定の者の代理人としての活動はしていません。

ケロケロママ
ケロケロママ

直接子どもや保護者の相談に乗ることはありません。

子どもや保護者が直接弁護士による相談を希望する場合は、子どもの権利委員会が実施している子どもの人権相談をご利用ください。

※電話・面談が無料となっています。(面談は予約が必要です)

スクールロイヤーになるには

スクールロイヤーになるためには、弁護士資格は必要なのですが、それ以外に学校に係わる弁護士として、教育的・福祉的な視点も必要となります。

お子さんが福祉的な支援が必要な場合、自動相談所など各機関との連携が必要になります。

小学校や中学校に常駐している、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーなど職種や役割を正確に把握して、どういう場合にどこに繋げばいいのか最低限の知識を持っておくことも必要です。

ケロケロママ
ケロケロママ

福祉的視点・教育的視点と踏まえて学校に直面する問題と関わる必要があるので、本当に大変な職業です…。

学校の先生とスクールロイヤーを兼任できるのか?

もちろん兼任できるのですが、弁護士資格と教師の資格を両方持っている必要があるので、人数はとても少なくなります。

ご存じの通り、司法試験は法律系の国家資格の中でもっとも難易度が高いですから…。

私立中高一貫校の非常勤講師として勤務しながら、弁護士として各地の学校のスクールロイヤーを担当している方がいます。

その方の詳細です。 ⇒ 「スクールロイヤーについて

ケロケロママ
ケロケロママ

弁護士と社会科教師、両方の資格を持っているのって凄いね!

むすめ
むすめ

弁護士になるためには6000時間の勉強が必要なんだよね!

書籍について

教師の勤務実態、そして学校の構造的な問題点が的確にまとめられている良書で、娘はこの本を読んで勉強していました。

むすめ
むすめ

弁護士資格を持っている教師が書いた本だよ!

ドラマもありました!

やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる

2018年4月21日から5月26日まで放送された、NHK総合の土曜ドラマです。

ケロケロママ
ケロケロママ

主演は神木隆之介さんです。

スクールロイヤーと呼ばれる学校弁護士が、いじめ、体罰、モンスターペアレント、教師のブラック労働といった教育現場の様々な問題に立ち向かう学園ヒューマンドラマです。

NHKオンデマンドで視聴することができます。 ⇒ NHKアーカイブスはこちらです。

「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」でスクールロイヤー考証を担当し、主人公と同じく学校に勤務している弁護士が書いた本です。

ドラマのノベライズも発売されています。

最後に

娘からスクールロイヤー制度の話を聞いたとき、最初に思ったのが「誰のためのスクールロイヤーなのか?」でした。

ケロケロママ
ケロケロママ

教師のため?子どものため?それとも保護者のため?

愛知県弁護士会の公式ホームページではこのように書かれていました。↓

困難ケースではなるべく学校に赴き、校長先生や教頭先生に加え、担任や学年主任、生徒指導担当等子どもや保護者と直接関わっている先生方からも広く話を聞くようにしていますが、肝心の子どもの姿が浮かび上がってこず、子どもが大人同士の対立の中で置き去りにされがちだと感じます。
困っている子どもの存在に学校が改めて気づくことが、その子どもにとっての最善の利益を保護する第一歩になります。学校と子ども、保護者の関わりはこの先も続くことから、スクールロイヤーとして問題を整理し助言する際には、子どもを中心にして、先生方だけでなく、保護者も含め関係する大人に何ができるかを考えるよう心がけています。      引用:愛知県弁護士会

ケロケロママ
ケロケロママ

最終的には「子どものため」になるように考えているってことですね!

しかし教師は大変です。授業の準備にテストの作成や採点、学校行事の準備に進路指導とやるべきことは山積みです。

理不尽な保護者の対応を含め、働き方の問題など、スクールロイヤーに依頼することで教師の負担が少しでも減りますように…。