娘の通っている大学で「停学処分」になった学生が自主退学したと聞きました。
高校生の停学処分のイメージを持っていたので、「しっかり反省して停学期間が終わったらまた大学に通えばよかったのに…」なんて思っていたのですが、
娘の話を聞いたところ、大学の「停学処分」は高校生と比べ物にならないくらい厳しいものだと言うことが分かりました。
娘の通っている大学の学生は、停学処分になったことで、なぜ自主退学したのか?
この記事では、大学の厳しい「停学処分」の事情について詳しくまとめます。
大学で停学処分になる理由
大学で停学処分になる代表的な理由についてまとめました。
<学内の秩序を乱す行為>
・カンニング
・ハラスメント(セクハラ・パワハラ等)
・20歳未満の飲酒(飲酒を勧める行為)
・大学の器物等の損壊行為
<交通事故・違反>
・交通事故(無免許運転、飲酒運転、暴走運転等)
<犯罪行為>
・殺人、強盗、強制性交等、放火等の凶悪な犯罪行為
・薬物犯罪行為
・痴漢行為
・ストーカー行為
・傷害、窃盗、詐欺、恐喝、賭博、住居侵入等
・コンピューターまたはネットワークを用いた犯罪行為
友達の通っている大学では、意図的に部室のロッカーを壊した学生が停学になったんだって。
ネットワークビジネス(マルチ商法)を斡旋していた学生が停学になった話も聞いたことがあるよ。
カンニングが見つかるとどうなる?
カンニングによる「停学処分」ですが、法律による統一された規格は存在していません。
なので、カンニングが見つかると謹慎処分になる大学もあれば、長期停学になる大学もあったりと様々です。
娘の通っている大学は、カンニング行為が見つかると「単位取り消し処分」になります。
(その学期の所得単位が全て0になります)
初回のカンニングは「戒告と単位取り消し処分」だけで済むけど、2回目のカンニングが発覚したら即退学になるって先生が言ってたよ。
※娘の大学の「学生の懲戒に関する規程」にも同じことが書いてありました。
娘からその話を聞いたときは、カンニングしていない科目も不可になるんだ!厳しいなぁ…なんて思いましたが、
「停学処分」にしないことで履歴書に傷がつかないようにする大学側の「配慮(温情措置)」だということが、今回調べていて分かりました。
停学処分中の過ごし方
以前、高校生の停学処分について記事にしました。
「高校生活」停学処分になっても大学に進学することはできるのか?
息子の高校時代の友達は、地元のお祭りで会った先輩に強引にお酒を飲まされたことで停学処分となりました。
毎日大量のレポートと反省文を出さなければならなくて、午前と午後に一回ずつ先生が訪問して来たり自宅に電話がかかって来るから大変だったって言ってたよ。
高校の先生も毎日訪問するのは大変だったと思うよ。
高校生は停学になると自宅謹慎になることが多いのですが、大学生はどうなんだろう?と調べてみたところ、
停学中の大学生はキャンパス内に入ること、そして大学の部活等の参加が禁止されることが分かりました。
一人暮らしの学生ならスーパーとか行くから、完全に「外出禁止」には出来ないよね。
停学中のアルバイトについて
停学中にアルバイトをしても大丈夫か?という質問を多く見かけましたが、停学は懲戒処分となりますので原則アルバイトは禁止です。
※何が禁止されているのか大学によって違いますので、通っている大学の「学生の懲戒に関する規程」をご確認ください。
ただ高校の先生のように、大学の先生は自宅訪問はしないので、多分アルバイトをしていても見つかることはないと思います。
(訪問はしなくても自宅に電話がかかって来る大学はあるかもしれません)
アルバイト中に問題を起こしたら今度こそ「退学処分」になるかもしれないので、その点はご注意ください。
停学処分になった学生が自主退学を選ぶ理由
さて、ここからが大学の厳しい停学処分の事情になります。
一般的な高校の場合、停学の期間が短期間(一週間程度)なら黙認されて進級することができます。
ただ、大学の場合、数週間から数か月と停学期間が長く設定されることが多いです。
大学の規定によっても違いはありますが、
停学処分中は在学期間の4年間に入らない大学もあります。
⇒数週間の停学で、単位が全て取れていたとしても留年することになります。
大学から出る各種証明書に処分歴が記載されることもあります。
⇒卒業をしたとしても就職が困難になります。
※記載されなくても大学のデータには残ります。
大学(学部)は4年間の在学が、卒業要件となるからね。
「停学処分を考えるくらいなら、自主退学のほうがいい!」と考える学生が多いのは、履歴書(各種証明書等)に期日と「停学」のむねが明記されるのを避けたいという理由が大きいです。
停学処分が言い渡されてから、実際の処分が開始されるまでに約2週間程度あります。
処分が始まる前に自主退学をすれば各種証明書に処分歴が記載されませんから、
「履歴書に傷がつく前に…」と、この2週間のあいだに大学を退学する学生は多いです。
停学処分になると困ること
掲示板に掲載される
停学処分が決まると大学の掲示板に、学部、学科、氏名、停学理由が掲載されるんだって。
犯罪など悪質でない場合は名前を掲載しない大学もあるけど、学部、学科まで載っていたら誰のことかすぐにバレるよね…。
掲示板に名前が載ったとしても、数年後にはほとんどの学生が忘れています。
本当に大変なのはここから下の3つです。
出身高校に停学の通知が行く
高校の校長先生の推薦を受けて入った大学で懲戒処分(戒告、停学、退学及び除籍)を受けた場合、間違いなく出身高校に通知が行きます。
高校の先生が、大学の先生にひたすら謝ったって言ってたよ。
問題を起こした学生の出身校の推薦は取り消されることもあるので、推薦を狙っていた高校の後輩に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
奨学金が打ち切られる
大学から懲戒処分(戒告、停学、退学及び除籍)を受けたら日本学生支援機構の奨学金は打ち切られます。
第21条 業務方法書第16条第1項の規定により貸与奨学生が次の各号の一に該当する と認められる場合は,機構は,在学学校長の意見を徴して,貸与奨学金の交付を廃 止することができる。ただし,当該者が外国の大学又は外国の大学院に在学する貸 与奨学生である場合は,在学学校長の意見を徴せずに貸与奨学金の交付を廃止する ことができる。 引用:日本学生支援機構が定める奨学規定
別の大学に入学し直したら、もう一度奨学金を借りることはできるの?
今まで奨学金を借りたことがある人だと申し込みができなかったり、制限が設けられる場合があるよ。
※詳しくは日本学生支援機構の公式ホームページでご確認ください。
大学から出る各種証明書に処分歴が記載されることもある
停学は公的な処分になるので、大学から出る各種証明書に処分歴が記載されると書かれている方もいましたが、
大学の学生ごとのプロファイルページの備考欄に停学期間、停学理由など記録はされるけど、そこから証明書を印刷する場合は原則として備考欄は印刷ないと書かれている方もいました。
意見が半々だったので、大学によって違うのかもしれません。
広島市立大学の学生の懲戒に関する規程の17条にはこのように書かれています。
懲戒処分を受けた学生の将来を考慮し、本学が作成する成績証明書等については、原則として懲戒処分を受けた旨の記載をしないものとする。引用:広島市立大学の学生の懲戒に関する規程
成績証明書は就活で使うことがあるから、広島市立大学のように載せないでくれると助かるよね。
こちらは早稲田大学の学業成績証明書の見本です。
⇒ 学業成績証明書
処分歴が記載されるなら、一番下の特記事項の欄になります。
最後に
大学生の子どもがいる親として、停学処分について調べるのはとても気が重い作業でした。
犯罪に巻き込まれたり、ふと魔が差すこともあるので決して他人事ではありません。
この記事を読んでいる人の中に「留年になっても各種証明書に処分歴が記載されても大学は卒業したい!」と考えている大学生もいるかもしれません。
当然ですが、処分歴があればこの先の就活では不利になります。
書類審査で黙って落とす企業もあれば、面接で「なぜ停学処分を受けたのか」と尋ねられることもあります。
それは変えられない事実です。
それでも停学が解除されたあとは真面目に勉強・通学して、何かひとつ他人に誇れるような資格など取って、誠意を見せて就活すれば、必ず就職先は見つかります。
大変なときは「プロ」の力を借りましょう。
同じ年ごろの子どもを持つ親として、応援しています。