大学4年生の娘は6月に高等学校教諭の教員採用試験を受けました。
恥ずかしながら、私は世間的によく話題になっている「教員不足」という言葉を完全に鵜呑みにしていたので、「大学で教職の単位を取れば誰でも教員になれる」と思っていました。
それが大間違いだと気づいたのは、教員採用試験の採用倍率を見たときでした。
娘の受ける高校の教科の倍率は10倍近くあり、娘の大学の学部では毎年50人近く受けていても、1次試験を通過できる人はほんの数人しかいないと知り驚きました。
中学、高校は教科によっては現役一発合格する方が難しいことを、娘が教員採用試験を受けることで初めて知りました。
さて、親として気になったのは「教員採用試験に不合格になった学生たちはどのような進路を選ぶのか」です。
教員採用試験に何年かチャレンジするのなら、最低限暮らしていける「仕事」に就く必要がありますよね。
この記事では、娘と通っている大学の学部の友人たちに教員採用試験に不合格になったあとの進路について話を聞いたので詳しくまとめます。
教員採用試験に落ちたらどうする?
※娘は教育学部ではなく、自分の学部に中学・高校の専門教科の教職課程をプラスして履修しています。
非常勤講師になる
娘の学部で教員採用試験に落ちた人で一番多かった進路は、非常勤講師をしながら教員採用試験に再チャレンジするでした。
非常勤講師って希望した地域の学校で採用してもらえるの?
勤務を希望する市町村に登録しておいて欠員が出たら採用してもらえるよ。
自治体の講師登録名簿に登録しておけば、教師が不足したときに教育委員会から連絡が来るシステムなのですが、欠員がなければ「希望する市町村」の範囲を広げる必要があります。
雇用が不安定なのが気になるところですが、娘の友達は8割が非常勤講師の道を選びました。
総合学科出身の友達は、母校に連絡したところ常勤(フルタイムで週5勤務)で雇ってもらえることになりました。
母校に連絡している友達は他にもいたそうです。
子どもの教育に関わる仕事に就く
塾講師や、放課後児童クラブのスタッフとして働くことが決まっている友達も2割ほどいました。
塾講師、放課後児童クラブ、どちらもアルバイトで入っている人が多く、卒業後は「アルバイト」ではなく「仕事」として継続するとのことです。
子どもに関わる仕事を続けながら、教員採用試験に再チャレンジするんだって。
雇用が不安定な非常勤講師ではなく、ある程度金銭的に安定した仕事に就いた上で、教員採用試験の勉強を続ける人もいることが分かりました。
一般企業に就職する
娘の学部で教員採用試験を受けた人(50人くらい)の中で「一般企業に就職する人」は、なんとうちの娘一人だけでした。
教員採用試験のための勉強と就活の時期が重なるのも「一般企業に就職する人」が少ない理由のひとつです。
娘は、ずっと教師か一般企業かで迷っていたので、大学で仲の良い先生3人に相談したところ「教師はいつでも目指せるから、迷うなら一般企業を受けた方がいいよ」と全員から同じアドバイスをもらったので早めに就活を始めました。
一般企業⇒教師よりも、教師⇒一般企業の方が転職の難易度が高いんだって。
「教員免許を持っていると就活で不利になる」
そのような話を聞いていたので就活を始める前は不安そうにしていましたが、結論から言えば全く不利になりませんでした。
娘は教職とは全く関係ない一般企業の総合職に数社内定をいただきましたが、教職課程を履修している話をすると「学業を頑張っているんですね」と、とても好意的に見てくれる人事の方ばかりでした。
「なぜ教師にならないんですか?」と聞かれたことは一度もありませんでした。
私の場合、むしろプラスになってたかも?
大学で教職課程を履修する前に考えておくこと
「教職課程を履修する前に考えておくこと」それは、教員採用試験に不合格になったときの進路です。
大学卒業後に親に金銭的に甘えて何年も非常勤講師を続けられるのは、「恵まれた環境」の人だけです。
金銭的な面を考えて、教員採用試験に不合格になった時点で一般企業に就職することを選ぶなら、教員採用試験の勉強と就活を両立させなければなりません。
就活も同時進行すると決めた人が注意することは、大学4年生の6月の第1次試験が終わってから就活を始めるのは遅すぎると言うことです。
遅くても大学3年生の夏には就活を始めた方がいいよ。
仮に教員採用試験に落ちてから、大学4年生の秋以降に就活をして、こかの中小企業で採用されたとしても、「ホワイト」的な企業でない可能性が高いです。
就活は想像以上に時間を取られます。
- インターンシップに参加
- 企業説明会に参加
- エントリーシートを提出
- 筆記試験(SPI)
- 一次面接
- 二次面接(四次面接まである企業もあります)
うちの娘ですが、二次面接で落とされた会社もありました。(第二希望の会社でした)
一般企業への進路も考えているなら、先手必勝で少しでも早く動きましょう。
最後に
娘の学部は教育学部ではないので、教職を履修している学生に対して、大学の先生方から「教師になるのは止めておいた方がいい」と何度も言われたそうです。
「先生に止められたくらいで教師になるのを諦めるなら、どの道、教師になっても長続きしない」と言っていたそうですが、本当にその通りだと思います。
うちの娘ですが、教員採用試験の一次試験に合格することができました。
娘は東大京大に入れるような地頭の持ち主ではないので、「コツコツ勉強しないと覚えられない」と言って大学2年生の春からずっと教員採用試験の勉強をしていました。
一次の筆記試験が終わったあとは「想像以上に難しかった…」と言って落ち込んでいましたが、合格者の番号を見つけたときは飛び上がって喜んでいました。
合格した日の夜、大学の先生にも相談してずっと悩んでいましたが、朝になって「二次試験を受ける前に辞退するね」と言い、正直勿体ないな、と残念な気持ちになりましたが、娘の決めた進路を応援することに決めました。
自治体にもよりますが、一次試験の辞退率はかなり高いそうです。
娘は教師の道は選びませんでしたが、「教職課程の勉強はすごくためになったし楽しかった」と言っていますし、教育実習もとても優しく指導してくれる先生方に恵まれて、一緒に教育実習に入った仲間たちと3週間とても楽しく過ごして打ち上げにも出かけていました。
子どもたちも素直で可愛かったなぁ。
ただ、大変な職種であることは間違いありません。
この先、部活動の改革などで先生方が少しでも働きやすい環境・職場になってくれることを願っています。