大学2年生の娘と高校2年生の息子がいます。
タイトルにした「公立高校を合格辞退することはできるのか?」ですが、
結論から先に書きますと、受験生は合格辞退する権利を持っています。
こんなことを書くと中学校から嫌がられそうですが…
合格辞退する権利を持っていても、娘と息子が通っていた公立中学では「合格辞退」することがないよう、徹底的な進路指導が行われていました。
公立高校に合格したら絶対に通わないと駄目だと思ってたよ。
公立高校の志願変更ですら、やらないようにと指導されてたよ。
このように公立高校の「合格辞退」は娘も息子も「やったら駄目なこと」だと認識していました。
中学校の先生方が公立高校の合格辞退することをなぜ嫌がるのかについてまとめます。
公立高校を合格辞退することはできるのか?
最初にも書きましたが、受験生は公立高校を合格辞退する権利を持っています。
令和5年度愛知県公立高等学校入学者選抜実施要項の14ページに「第6 合格後の措置等」が書かれています。
推薦選抜・一般選抜とも同じ内容が書かれています。
合格辞退届けはこちらの別記様式19になります。⇒ 令和5年度実施要項(別記・様式編)
合格辞退するなら早急な手続きが必要です!
公立高校の一般入試を受けたあとに、合格している私立高校に進学したくなった場合です。
ほとんどの私立高校では入学金の納入期限は合格発表の次の日までとなっているので、公立高校を合格辞退するなら早急に手続きしなければなりません。
公立高校の合格辞退をするのなら、合格発表の当日に親が中学に連絡して、校長先生に合格辞退の手続きをしてもらう必要があります。
早く辞退しないと仮押さえしていた私立高校の入学資格をも失うことになってしまうため、合格発表を見たらすぐに連絡してください。
どのくらい合格辞退者がいるのか?
公立高校の合格辞退者は毎年の県全体の合格者約4万人のうち30~40人くらいいるとのことです。
そんなに沢山いるの?
令和5年度入試では19人の辞退者がいたんだよ!
娘と息子が合格辞退を考えなかった理由
受験生は合格辞退する権利を持っていますが、いざ辞退することが決まると大勢の人に迷惑をかけることになります。
一人辞退することで、その高校は2次募集をかけることになる
2次募集をかけるためには、再度募集、試験、採点、合格発表をすることになり、とんでもなく手間とお金(税金)がかかります。
かなりレアケースだと思いますが、公立高校には補欠合格のシステムがあると記事で読みました。
ただ、すごくレアケースであることには間違いがないので、補欠合格に関しては期待しないのが正解だと思います。
補欠合格について調べて記事にしました!
合格した人のために不合格になった人がいる
経済的に苦しい家庭の子がたった1点差で不合格となり私立に行く羽目になっているかもしれませんよね。
合格辞退者が出たからと言って、選抜作業はやり直すことができません。
愛知県の公立高校入試では、落ちた受検生の一番上位の生徒を追加合格にする制度はないのです。
なぜ高校の定員が減ってはいけないのかについては以下の通りです。
従って、入学定員はきっちり取らなければなりません。
それを崩さないように、高校はもちろん、中学でも非常に神経質になります。
それ以外にも、合格辞退するために校長先生や担任の先生が高校まで謝りに行ったり、校長先生が県教育委員会からの指導を受けることになります。
「私立に行きたくなった」「嫌いな子が合格したから行きたくない」などの自己都合的な理由で合格辞退を考えるのでしたら、中学側で「駄目だ」と言われて受理してもらえない可能性も高いです。
あまりにも自分勝手な理由なら、校長先生が合格辞退届けに印を押してくれないかもしれないね。
合格辞退が許される理由
塾の先生から過去に、公立高校の入試が終わったあとに家族で海外に転勤が決まったから合格辞退した生徒がいたって話を聞いたよ。
急な転勤で他県や海外に行くことになって合格辞退するのは仕方がないね。
家庭に不幸があったりと経済的な理由で合格辞退する生徒もいるとのことです。
合格辞退が自由にできるようになったら?
公立の合格辞退が自由になれば、高校入試が大混乱になります。
なぜなら愛知県の私立高校には併願入試制度があるので、入学手続き、入学金支払いを公立の合格発表まで待ってもらえるため、力試しのために公立高校の受験をする生徒が増えるからです。
塾の公立トップ合格実績競争のため、入学する気がなくても受験させられる生徒も出てくるかもしれません。
有名私立などに合格している人が、力試しとか箔をつけたいだけのために公立高校のトップ校を受験するかもしれません。
これらの「入学する気のない合格者」が公立の合格発表で一斉に辞退すると、春休み中に公立入試のやり直し(大規模な二次募集)が行われることになります。
やり直したところでまた辞退者が出るかもしれないよね。
いつまでたっても高校入試が終わらなくなるね。
辞退者が出る度に県税が使われるのも困るよね。
入学辞退と受験辞退の違い
入学辞退とは?
入学辞退は合格辞退と同じです。
高校の入学が決まってから辞退すると言うことです。
受験辞退とは?
公立高校の願書を出した後に受験することを辞退することを「受験辞退」と言います。
受験日より前に中学校に申し出て,手続きをしてもらうことになります。
具体的には「受験辞退届」を高校に提出します。
2校中1校だけ受験辞退することも可能です。
もしうちの子が願書を出したあとに「受験辞退したい」と言い出したなら、入試でわざと不合格になる点数を取りなさいと伝えます。
筆記試験を白紙で出せば不合格になるので、わざわざ先生方にお願いして手続きしてもらう必要はありません。
推薦入試の合格辞退はできるのか?
公立高校の推薦をもらえる子はとても少ないです。
校内の選考会を通過して、校長の推薦が出て初めて推薦入試を受ける資格を得ることができます。
推薦できる人数も予め決められているので、選考会で落とされている生徒もいるはずです。
もし、推薦合格したあとに「合格辞退」をするのなら、保護者と本人がしっかりと中学側に謝罪する必要があります。
そして推薦入試の「合格辞退届」を作成してもらい提出しなければなりません。
学校と学校の信頼関係で校長が生徒を推薦しているから一般選抜の合格辞退より大事になるよ。
第一志望校の合格を蹴って第二志望の高校に入学できる?
愛知県では公立高校を2校受験することができるのですが、「2校合格」できないシステムとなっています。
なので、第一志望校の合格辞退をして、第二志望の高校に行くことはできません。
愛知県では第一志望の高校に合格した場合,第二志望の高校は「第一志望の学校に合格のため,第二志望校の合格者候補から除外」されます。
掲示板にも「本校に合格」か 「相手校に合格」としか表記されないよ。
愛知の公立高校の合格パターンは以下の3つです。
- 第1志望のみ合格(第2志望への進学不可)
- 第1志望落ち、第2志望のみ合格
- 第1志望・第2志望とも不合格
合格辞退すると後輩に迷惑がかかる?
合格辞退した本人ではなく、同じ中学に通っている後輩に対して推薦の話が来なくなったりと迷惑がかかると聞いたことがありますが…
個人的にそんなことにはならないのでは?と思っています。
なぜなら、合格辞退に関わる人(中学の校長、担任の先生、高校の校長、教育委員会の担当者)など全てが「教育者」であるので、何の関係もない後輩にしわ寄せが行くことはおかしいからです。
ただ、あまりに大勢の合格辞退者が出た中学では信用がなくなるかもしれませんね。
最後に
娘も息子も受験生となった1年間を通して担任の先生や、校内で行われる進路説明会で何度も「公立高校を受験する生徒は公立高校が第一志望の場合だけにしてください」と説明されて来ました。
志望校決めは年間を通してかなり慎重な話し合いの上決定したので「公立高校の合格を辞退する」という考えを子どもたちは持っていませんでした。
先生と親と何度も話し合って志望校を決めたからね!
合格というのは「入学する権利」を得るのみで「入学する義務」を課されるものではない。
だから合格辞退をしたければ心置きなくすればいい。
そのような意見もありましたが、受験をしてしまったことで、本来合格するはずだった別の受験生が他の高校に行くことになる、そんな事実があることも覚えておいて欲しいです。
本当に行きたい高校だけを志望校に選ばないとね。