愛知県の高校では、続々とブレザータイプの新制服に変わっているのですが、同時に女子のスラックスを取り入れている高校が増えています。
息子の通っていた公立高校でもスラックス制服を着ている女子はいたのか聞いてみたところ、「同じ学年に1人だけスラックスで登校している女の子がいたよ」とのことでした。
校則にスラックス登校OKの記載はありませんでしたが、履いている女の子はいたそうです。
最初に書いた通り、ブレザータイプのジェンダーレス制服を取り入れている中学・高校は年々増えています。
ただ、どこも「スカートではなくスラックスを履きたい女子」のために、女性の体形に配慮した少し丸みを帯びたスラックスを導入しているところばかりです。
これって本当に制服の選択自由化と言えるのかな…?
スカートが履きたい男の子もいるよね?と思い、愛知県内で男子のスカート登校がOKされている高校はあるのか調べてみました。
男子のスカート登校がOKの学校はあるのか?
2019年の時点では、愛知県豊橋市が市立の中学校を対象に、いずれスカート登校の選択を可能にする方針を示していました。
名古屋市議会でも中学生の制服の問題が取り上げられていて、性別に関係なく制服を選べるようにすることについて河村市長は「このことは完全に賛成。市長が決めるより、いちど生徒たちで議論を」と言っていました。
各学校ごとに判断すべきとの考えを示した河村市長でしたが、2023年になりましたが、大きく進展した話は聞きません。
ただ全国で調べてみたところ、男子の児童生徒にスカートを取り入れている学校を見つけることができました。
●福岡県みやま市瀬高小学校
性別に関係なくスカートか半ズボンかを選べる標準服が導入されました。
ズボンとスカートの長さはほぼ同じで、上着は共通のブレザーとしており、外見で見分けがつかないよう工夫されているとのことで、まさに理想の制服です。
●福岡県福岡市全ての市立中学校
2019年10月から福岡市内にあるすべての市立中学で、スカートかスラックスを男女関係なく選べる制服および標準服が採用されました。
●埼玉県戸田市立戸田東中学校
2019年4月から男子も女子も、スカート・スラックスどちらを選んでも良いことになりました。
●埼玉県吉川市立吉川中学校
2020年に開校されたばかりの中学。制服はブレザーで、男子・女子関係なく下はスカート・スラックスどちらを選んでも良いとのことです。
● 東京・江戸川区の中学校(3分の1の学校で導入)
2021年度から、東京・江戸川区は全体の3分の1の中学校で制服選択制を導入しました。
瑞江第二中学校では、スラックスかスカート、そしてネクタイかリボンの組み合わせを自由に選択できるようになりました。
●滋賀県野洲市市内3中学校
2022年春から従来の男子の詰め襟や女子のセーラー服をやめて、男女兼用のブレザーに変更することが決まりました。
性別に関係なく、誰でも自由にスラックスやスカートを選べるようにし、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの生徒らに配慮する、とのことです。
●広島県安芸太田町の県立加計高校
完全なスカート登校が容認されている学校は、今のところ県立加計高校だけでした。
2019年からLGBTである生徒も違和感なく制服を着てもらおうと、スカートもズボンも性別に関係なく選べるようになりました。
2021年4月にNHKのWeb特集でも取り上げられました。
他にも見つかり次第記載して行きますね。
2022.10月追記です。
10月18日にX(旧Twitter)にジェンダーレス制服を取り入れる中学のニュースが流れて来たので詳しく調べてみました。
今回、新たな制服の導入を決めたのは、津幡町の津幡中学校と津幡南中学校です。この2校は現在、男子生徒が黒の詰め襟の学生服、女子生徒はセーラー服にスカートの着用が校則で義務付けられています。引用:TBS NEWS DIG
体と心の性が一致しない生徒に配慮するため、冬は男女共通の紺のブレザーで、性別に関わらずリボンとネクタイを、ボトムスはスカートとスラックスをそれぞれ選べるようになった、とのことです。
ジェンダーレス制服は、石川県内で初の試みとのことです。
女子のスラックス登校よりはまだまだ少ないのですが、男子のスカート登校ができる学校が少しづつ増えています。
男子がスカートを履くことについて思うこと
娘と息子に「スカート登校」について意見を聞いてみました
高校生の息子は「男子がスカートの制服を着用することに対して別に何とも思わない」とのことでした。
校則で許可されているなら、好きな制服を着ればいいんじゃないの?
そう言えば息子の通っていた公立中学では、SDGsの取り組みについての冊子が配られていました。
愛知県は、2019年7月に内閣府から「SDGs未来都市」に選定され、全庁を挙げてSDGsの達成に向けた取組を推進しています。
SDGsの達成に向けては、行政のみならず県民一人ひとりがSDGsに対する認識を深め、行動につなげていくことが重要です。そのため、次代を担う若者に、SDGsについて意識しながら行動する重要性を学んでもらうことを目的として、県内の中学1年生を対象とし、身近な問題から分かりやすくSDGsを紹介する「中学生のための SDGsスタートブック」を作成しました。引用:愛知県公式サイト
息子の学年ではジェンダー平等についても授業でしっかり学んでいるので、「女の子はピンク、男の子はブルー」などという固定観念は持っていません。
そんな息子に対して、大学生の娘の意見は厳しいものでした。
社会に出たら決められた制服を着ることになるんだよ?スラックスじゃなきゃ嫌とか言ってたら働ける会社がなくなるよ。
「社会のルールとして、学校にいる間・会社にいる間は決められた制服を着るのは仕方がない。どうしても着るのが嫌なら私服の学校・会社を選ぶしかない」との意見でした。
通っている学校では通用しても社会に出てから通用しないこともあると言う娘の意見に納得できる部分もありました。
男女共用の制服について考える
厳しい意見を持っていた娘でしたが、指定されている制服についてはこのような意見を持っていました。
- 女子のスラックス登校を認めてもらう
- 男子のスカート登校を認めてもらう
いちいち先生に許可を取らないと着ることができない制服ではなく、男女どちらが着ても良いデザインの制服を最初から作っておけばいいよね。
スカート、スラックス以外にもキュロットを作っておけばデザイン的に男女どちらでも履けるよね。
リボンやネクタイを自由に選べたり、制服の着こなしの選択肢がもっと広がるといいね。
誰もが楽しめるファッションを
一般社団法人日本障がい者ファッション協会(JP∞FA)代表理事を務める平林景さんをフォローしていて、自由な私服のツイートを楽しみに見ています。
男がスカートは変?
福祉はダサい?
障がいは薄暗い?世の中の偏見なんて朽ち果ててしまえ✨ pic.twitter.com/zM8TW9jikT
— 平林 景@福祉業界のオシャレ番長 (@KeiHirabayashi) February 12, 2023
日本障がい者ファッション協会の公式ホームページはこちらです。⇒ 「bottom’all」(ボトモール)
すっごくカッコいいスカートファッションの写真が沢山載っています。
最後に
我が家は姉・弟のきょうだいなので、息子が赤ちゃんの頃は「娘のお下がりのピンクやフリルの付いた服」を着せることがありました。
赤ちゃんの服はあっという間にサイズアウトになるので、1歳半くらいまでは娘のお下がりを着せていました。
息子が1歳半の頃、衣替えをしていたところ、娘のお出かけ用にしていた白いドレスがクローゼットから出て来たのでふざけて息子に着せようとしたのですが、もの凄い勢いで拒否されました。
まだ赤ちゃんだと思っていた1歳半の息子が、絶対にズボンしか履かない!と強い意志を持って拒否している姿を見て、「スカートを履きたい・ズボンを履きたいと思うのは、生まれつき持っている本能的なものなんだな」と気づきました。
ズボンしか履きたくない息子に対して、毎日スカートを履いて登校するように強要していたら不登校になってもおかしくないだろうな、と考え調べていたところ本当にその通りで、
制服が原因で不登校になる子は全国にいるとのことでした。
そうなんだね…。
娘の言う通り、何でもジェンダーを理由にして「我がまま」を通そうとするのは間違っていますが、自分ではどうしようもない「違和感」と戦い続けている人がいるのも事実です。
文部科学省の公式サイトにこのような支援についての記載がありました。
→ 性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について
考えてみれば服装や髪型のような表面的なものだけでなく、体育の授業・部活・トイレなど…多方面で様々な配慮が必要です。
そして体育の授業と言えば、最近ジェンダーレスの水着が発表されましたが、私も小学生の頃はこんなデザインの水着が着たかったです。
→ ジェンダーレス水着が開発された「体形や肌を露出したくない」生徒の思い反映 性の問題に限らず
学生の「ジェンダーレス問題」についてはまだまだ奥が深いので、これからも勉強して行きます。
ただ、ジェンダーどうこうじゃなくても、単純に制服の選択肢が増えるのはいいことですよね。
個人的には制服をブレザー化して、ボトムをスカート・スラックス・キュロットと男女とも自由に選べるのが理想です。
追記
娘の高校時代の男友達で、トランスジェンダーの子がいます。
記事にしても良いか聞いてもらったところ、快く了承してくれました。
その友達は母親に自分のジェンダーについて中学時代に打ち明けて受け入れてもらっていますが、父親にはまだ伝えていないとのことです。
「友達のお母さん」に打ち明けたのは私が初めてとのことでした。
私に教えてくれたのは「娘が家に男友達を連れて来たのは初めてだよ」と話しかけたのがきっかけでした。
娘と友達はしばらく顔を見合わせたあと「実は…」と打ち明けてくれました。
外見的には完全に男の子で、耳の出る短髪で学ランを着て中学校に行き、どこから見ても「男子生徒」だったので驚きました。
娘が「決められた制服を着ること」に対して厳しい意見を持っていたのは、その友達が学校では男子用の制服を着ることを受け入れていたからだと思います。
友達は大学の進学をきっかけに県外に出て一人暮らしを始めたので、娘は夏休みに遊びに行くのをずっと楽しみにしていて、先日ようやく会いに行きました。
スマホで送られて来た写真で見た友達は、少しだけ髪を伸ばして、明るい色のリュックを背負って笑っていました。